代表あいさつ~Action For CFSの願い~

慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome : CFS)という病気をご存知でしょうか?

 

慢性疲労症候群(CFS)とは、これまで健康に生活していた人が、ある日突然、原因不明の激しい疲労感に襲われ、それ以降、強度の疲労感とともに、 微熱、頭痛、筋肉痛、脱力感や思考力の障害、抑うつなどの精神神経症状が長期にわたって続くために健全な社会生活が送れなくなるという病気です。

 

病名に「慢性疲労」という言葉が入っているため誤解を受けることが多いのですが、「慢性疲労症候群」と「慢性疲労」は、まったく違うものです。

 

私の場合は、大学卒業後就職して約2週間後に、咳をともなう高熱が出たことが発症のきっかけでした。
保育士をしていたのですが、高熱は下がったものの、何となく体の調子がおかしかったり、子供の名前が覚えられない、仕事の段取りができないなどの思考力や記憶力の低下の症状が出始めました。
数ヶ月後に阪神淡路大震災があり、職場が被災したため、震災発生の翌日より被災地で仕事をしていました。

 

その少し後から駅の階段を昇るだけで息切れがしたり、その年の秋には喘息を発症し微熱が下がらなくなりました。
今考えると、倒壊した建物の粉塵でCFSの症状が悪化したものと思われます。

その後、微熱・ 関節痛・筋肉痛・思考力や記憶力の低下・起立不耐・めまい・アレルギーなどの症状がありましたが、病院では、精神的なものと言われ、パニック障害・身体表現性障害と診断されました。
約10年間治療を続けましたが症状は悪化していきました。

 

「一般的な検査では異常がないこと」がCFSの特徴のひとつですが、私の場合もドクターショッピングをくり返し、CFSの確定診断を受けたのは発症してから15年以上後でした。


「労作後の悪化」もこの病気の特徴で、その時は何とかがんばれても直後から動けなくなったり、翌日から寝込むこともあります。また、その無理をくり返すことにより病気の症状は悪化していきます。

 

診察してくださった医師のうち、誰かひとりでもこの病気をご存知だったら...。
この病気の存在がもっと知られていれば...。
もっと早く慢性疲労症候群だとわかっていれば...。

 

家族にも理解されず、できない自分が悪いと自分を責め続け、無理をすることもなかったのに。
安静を心がけ、ここまで悪化することもなかったのに。
病気だと理解したうえで生き方を考えられたのに。
仕事も含めて、好きだったこと・やりたかったことをこれほどあきらめなくてもよかったかもしれない。

 

病気を発症したことについては仕方ないと思えますが、慢性疲労症候群という病気が知られていないことでの不利益が大きすぎると感じました。

 

平成26年、厚労省による「慢性疲労症候群患者の日常生活困難度調査事業」が行われました。
資料を見ていただけるとわかりますように、患者の約3割は日中の半分以上を横になって過ごしており、介助が必要な状態です。
また、約1/4の患者は就学中に発症しており、そのうちの半数以上は、以前のように学校に通うことができなくなっています。

 

私も、今は働くこともできませんし、日中のほとんどを横になって過ごしています。
症状も少しづつ悪化しています。

私自身、自分がこの病気になっていなければ、これほど生活に支障をきたす深刻な病気だとは理解できなかったと思います。


そんななか、まだ自分にできることは残っている。今の自分にできることをしようと思ったのが、今回のプロジェクトのきっかけでした。

 

このプロジェクト名の冒頭につけた『 Action For CFS 』という言葉には、「CFSを知ってもらうためにその人ができるかたちで関わっていただきたい」という気持ちを込めました。

 

5月12日は、慢性疲労症候群の世界啓発デーです。
人生の一時期、この病気だったといわれているナイチンゲールの誕生日にちなんで選ばれた日です。

 

病名からは想像できないくらい深刻な「慢性疲労症候群」を知ってください。
そして、まわりの方にも伝えてください。

 

患者さんにおかれましては、お体に無理のないかたちでご参加いただけましたら幸いです。

 

 最後になりましたが、今回のプロジェクトを進めるにあたり、お力添えいただきました方々に心より感謝申し上げます。      

 

Action For CFS 慢性疲労症候群啓発デー実行委員会
代表   早川  八栄